いつだったか初対面の人に「読書が趣味です」と自己紹介したら 「私もなんです」と返ってきたことがありました。 これはお互い本の話で盛り上がれるかなと期待したのも束の間、先方の読書スタイルは 「小説は一切読まない、実用書のみ」 と判明してガックリ…。 私はほぼ逆なんです。読むのは小説ばかり。実用書も読まないわけではないですが 楽しむために読むものは、やはり小説の方です。 そう言ったところ、今度返ってきた言葉は 「だって小説って作り話でしょう?嘘を読んで何か得があるの?」 それは自分の中からは出てこない斬新な視点すぎて、なるほどこういう考え方もあるのか、 同じ読書好きでもここまで違うものかと、むしろ新鮮な気持ちで勉強させていただきました。 きっと私とその人とでは読書に求めるものが根本的に違うのでしょう。 作り話で嘘で読んでもこれといって得をしないからこそ、私は小説が好きなのです。 損得に縛られた現実からひととき逃れるために使うツールとしての小説なのですから。 でもひょっとすると、そんな逃げ場を必要としない、現実のみで生きることに傷つかない強い人さえも 夢中にさせてしまうほど面白い小説こそが、真の小説なのかもしれません。